「――生き残ってしまった」
「誰も助からない…!」
「私は、ここにいてもいいのだろうか…」
「…助けて…!ここから出してぇ……!」
「優しい、雨のような人でした…」
ジャンル:ホラー
ED:「声(※旧字体)」/天野月子
ED数:2種類(両方ともムービーは同じだが、ハードモードEDでは、スタッフロールのバックにスチルが加わる)
<ストーリー>
フリーのカメラマン、黒澤怜は、ある日、「幽霊屋敷」と噂される、日本家屋の撮影の以来を受けた。
屋敷を撮影中、怜はそこに居るはずのない影を見る。
それは、怜が運転をする車の事故で、命を落とした婚約者の姿であった。
「優雨!!」
優雨を追って、廃墟の奥へと進んでいくうち、ふいに辺りの光景が一変する。
深深と降る雪の中、目の前にはたくさんの墓標が並んでいる。その向こうには、巨大な屋敷の入り口が見える。それは、今撮影していた屋敷とは全く違う建物であった。
「ここは…?」
戸惑いながらも、怜は優雨の姿を追って、屋敷の中へと足を踏み入れる…。
それが、悪夢のはじまりとも知らず――。
そしてやがて。
夢と、現実。
繰り返す悪夢の中で。
その境は、じょじょに曖昧になっていく……。
<感想>
零シリーズ三作目。零は三部作ということで、この話で一応の完結をしています。製作者側の話では、この作品で「すべてが零になる」とのことです。
ストーリは夢の世界、現実の世界を交互に行き来することで進んでいきます。(とはいえ、8、9割が夢の世界中心ですが)夢の世界では、広大な日本家屋を、怨霊を倒しつつ、謎を解きつつ進んでいかなくてはいけないのに対し、現実の世界の方は、怨霊に襲われることのない、安らげる安息の場…と言えるのですが…。
少しずつ、夢の世界が侵食してくることによって、ストーリー終盤では、「ありえないもの」が現実の世界にも現れてくるようになります。机の下から、幽霊が這い出てきたり、ベッドの下から手が生えてきてたり、押入れの中に何かがいたりと休まる間もありません☆
主人公は3人。
メインヒロインの黒澤怜。
サブ主人公の雛咲深紅、天倉蛍。
中でも、主人公格としては、零シリーズ初の男キャラということで、プレイ前から期待の高かった蛍ですが、彼は予想以上にやってくれました…。あのマッスルボディは伊達じゃなかった。いや、むしろ伊達だった。何さ、特技「隠れる」って…!(笑)
ちなみに零シリーズでは、2週目から、ポイントを利用して、衣装などを購入できるのですが、調子に乗って、蛍に鉢巻+メガネ+浴衣という装備をさせておいたことをすっかり忘れてプレイし、シリアスな怜との初対面シーンで
ピンポーン♪
カチャ
「黒澤…怜さん?」
と真顔で訪ねて来た日には大爆笑させてもらいました。
お前この状況で、どんだけお祭り気分なんだ!
あと深紅ちゃんの部屋の日本人形の髪がちょっとずつ伸びていくとかの憎い演出は相変わらず健在で何より。
蛍はプレイ一週目では○○○○の状態になるんですが、それに対する怜の反応が死ぬほど薄かったのには泣けました。お願い、優雨の100分の1でいいから、もっと心配してあげてえええ!!
EDは綺麗に纏まっていましたね。従来のシリーズに比べ、今回は理不尽さは感じない仕上がりでほっと一安心。けれど、あの理不尽でダークな感じが恋しいような実に複雑な心境もなきにしもあらず(笑)
しかし、それよりも何よりも友人が最後まで優雨のことを「タートルネック」というあだ名で呼んでいたことの方が、気になって仕方なかった件。
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